トレンチコートの似合う男
今回は、トレンチコートについて、50代後半の男性からの投稿をご紹介します。
トレンチコートというとすぐに頭に浮かぶのが、映画のシーンです。
「カサブランカ」のハンフリーボガード、「サムライ」のアランドロンです。
どちらもトレンチコート姿がサマになっていました。
トレンチコートはもともとは軍服です。
ですから二つの映画のように、ハードボイルドな主人公には
ぴったりのコートなのでしょう。
トレンチコートの色
カサブランカは白黒映画なのでトレンチコートの色はわかりませんが、
明度から判断すると、オイスターホワイトから薄いアーミーグリーンあたりの色調でしょう。
サムライは、カラー映画なので薄いアーミーグリーンとわかります。
アランドロンは、黒っぽいスーツに白いシャツ、黒いネクタイ姿でした。
このように、昔映画に出てきたトレンチコートは、男っぽい役柄に使われていたことがわかります。
現在は、茶や紺など濃い色調のトレンチコートも販売され、実際それらを着ている人も少なくありません。
しかし本来の姿は、やはり軍服に使われるような、目立たない渋い色調のものでしょう。
トレンチコートの着こなし方
ハンフリーボガードは、おしゃれな俳優で知られ、スーツ姿もトレンチコート姿も決まっています。
しかし、彼はアメリカ人俳優にしては、小柄でまたがっしりとした体つきではありませんでした。
一方のアランドロンは、当時は細身で引き締まった体型で、スーツ姿もトレンチコート姿もモデルのように着こなしていました。
ただし、どちらもハードボイルドな役だけに、襟をきちんとおろして、
腰のベルトをきちんとバックルに通すような正装の着こなし方ではなく、襟を立てて、
ベルトは結ぶような少し着崩した着こなし方でそれがまた魅力でした。
トレンチコートの特徴
ハンフリーボガードが小柄で華奢な体つきでも似合っていたように、
必ずしも体つきのいい男っぽい男にしか似合わないわけではないのが、
このトレンチコートの魅力です。
それは小柄の女性がトレンチコートを上手に着こなしているのを見ればわかります。
トレンチコートの特徴は、なんと言ってもその形の複雑さにあるでしょう。
トレンチコートと同じ素材を使ったステンカラーコートとは全くイメージが異なります。
ステンカラーコートは、襟の部分以外は全体がつるんとしていて、服に陰影がありませんが、
一方のトレンチコートは襟の形が複雑で、前のあわせがダブルなので斜めのラインがあり、胸には切り替えのライン、
腰にはベルトとこれだけ複雑な形の服やコートは他には見当たりません。
もはや機能的にはそれほど必要でないものがそのままずっと残って、
デザイン的に重要な役割をしていることになります。
トレンチコートは、このように少しくずした着こなし方が似合うコートかもしれません。