BBL USED コラム


メンズの着こなしは糊が効いたシャツで

ホンコンシャツ

今では死語かもしれないが、「ホンコンシャツ」というものがあった。
ホンコンという単語から、なにやら怪しげな中華のシャツを思い浮かべるかもしれない。
しかし、このホンコンシャツなるもの、れっきとしたイギリス紳士の装いだった。
その昔、ホンコンはイギリスの植民地、もしくは租借地だった。ここには、大英帝国の商社マンがたむろし、この地で生まれたイギリス人も多い。 ちなみに、このホンコンで生まれ育ったイギリス人をイギリス本国では英僑と呼んで、少々さげすむ意味にもとられる。

このホンコンは亜熱帯地域に属し、湿度も温度も高く、いかな誇り高いジョンブルも上着を脱ぎ捨ててしまう。さらには、ネクタイも外したいところだが、それだけはプライドが許さない。ゆえに、長袖のシャツの袖をちょん切って、半そでシャツにした。
これが、ホンコン在住のイギリス商社マンのスタンダードとなり、ホンコンで生まれたシャツということで「ホンコンシャツ」となった。
できるビジネスマンはTPOというよりも、環境にフィットしたものを身にまとうのである。

明治時代の日本

翻って、日本の文明開化の時。
極東の国、日本にやってきた欧米人は、冬は耐えられるにしても、夏はホンコンと変わらぬ自然のなかでプライドを維持していた。
同じように、着慣れぬ背広を着た日本人紳士は、生真面目にネクタイ姿でいた。傍で見る者のうっとうしさなど、まったくお構いなしだった。
そんな明治の時代のくそまじめを引き継いだ、現代日本のビジネスマンもようやく、クールビズという言葉に慣れ、一応、ノーネクタイ姿が様になってきた。

このクールビズでのノーネクタイでのシャツだが、ホンコンシャツのようにはいかない。
半そでシャツのビジネスマンは少ない。少ないというよりも、ほとんど、半そでシャツじたいが量販店にも売っていない。
その昔、大正や昭和の時代、男たちは開襟シャツ、半そでシャツだった。それで、なんらクレームもこなかった。
妙に、長袖、ジャケットを意識し始めたのは、高度経済成長の時代ではなかったか。 無理に、無理を重ねて、長袖のシャツを着ていた。見ている周辺も暑苦しくてしかたない。 むしろ、ネクタイ代わりのループタイを巻いている紳士の方がシャレものである。

夏に格好良いシャツ

さて、格好良いシャツとは。
それは、現代に照らしあわせると、ボタウンダウンのシャツではなかろうか。
ざっくりとした、木綿のシャツ。それも、ボタンダウンのシャツが、ポイントになっている。半そでであるのが好ましい。
やはり、この暑い夏、二の腕の日焼けした筋肉。
むっちとした筋肉を白い、もしくは淡い色のシャツからはみ出させる方が、ビジネスの世界でも頼もしくみえる。

冬に格好良いシャツ

冬場、スーツのジャケットから見えるのは、カッターシャツである。
そこから表現できるのは、襟元だけであり、アイロンがピシッとかかった状態をいう。袖口から除くシャツも、アイロンがかかって、爽やか。
これが、スタンダードなシャツのありかただろう。

TPO

要は、着こなしというもの、対する相手にどのような印象を与えるかである。
クソ暑い夏、無理にジャケットを羽織り、首を絞めつけるネクタイをまきつけても、好印象は得られない。
スカッと、した涼しさを感じさせるのが、一番スタンダード。

とはいえ、TPOを考える。
いくら熱帯夜でも、儀式におかしな恰好は相手に失礼。
そこで、フーフー言いながらも、ここぞという時、カッターシャツにアイロンだけはかける。糊のきいたシャツを颯爽と着こなす。
これぞ、あのジョンブルの国イギリスの商社マンが最低限厳守した着こなしである。
半袖でもいい、ボタウンダウンでなくともいい。だけど、アイロンだけは、ピシッとかけて出かけよう。
それが、もっとも格好いい、シャツの着こなしだから。

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